Blowin' the blues away

なんだかメンタルを病んでいるようなくらーくおもーい話題で申し訳ないです(笑)
遠くに住んでる友人がお盆前に癌で亡くなった、というのを人づてに聞いたもんで、ちょっと暗いかもしんないけど、今日は人の死（主に癌）について思うトコロをちょっくら書いてみようと思います。

ヒトが一生を終える際は色々なパターンがあるけど、当人や周囲の人間にとってその死がどうなのか？という観点で死を大雑把に分類してみるとこんな感じになるのかな。
（診断書に書くような死因ではなく一般的に言われている分類）

1.自殺
　1-1.自殺の理由が理解できないモノ
　1-2.死に至った理由が理解できるモノ
2.事故死（交通事故以外を含む）
　2-1.自己責任度合いの強い事故
　2-2.不可抗力の事故
3.病死
　3-1.癌
　　3-1-1.若年層
　　3-1-2.寿命近く
　3-2.癌以外
　　3-2-1.若年層
　　3-2-2.寿命近く
4.老衰
　4-1.ポックリ系
　4-2.終末期に認知症を伴ったモノ


まず、上記の自殺と事故死について。
この二つは間違いなく悲惨だ。
ワタシの高校の時の同級生の家庭には自殺と事故死が３件連続した。
まず最初は、その同級生の母親が交通事故死、父親は足が悪くて車椅子生活だったらしいのだけど、家に来てもらってたホームヘルパーの女性に猥褻事件を起こして逮捕された後、橋の上から身投げして自殺した。
そして次は中学生くらいだった息子が宮西町の某商業施設から飛び降り自殺をするという、呪いでもかかってそうな頻度で家族が亡くなっている。
よほど精神的に堪えたのか、その同級生は話している時などは一見マトモなんだけど常識の一部が欠落した人間になってしまった。
この二つの死に方は後悔と心構えの点で周囲の人間には辛い事だろう。
なんとか回避の方法があったのではないか？という意識がずっと尾を引くはず。



これはホントにあるのかどうか知らんけど、自殺を思いとどまらせる秀逸なカンバン
不謹慎だけど笑ってしまう。
もしこれがホントに東尋坊の海っぷちに立ってたら
「おぉそうだった、あれ見られるとヤベー、帰って消さなきゃ」
と思う奴は絶対いるはず(笑)


次に、病死と老衰について。
若年層の病死は、病名に関わらず本人も周囲もはなはだ不幸であると思う。
平均寿命近くであれば本人も周囲も死そのものに対する納得はある程度できるのだけど、若年層の病死には本人も周囲も悲壮感しかない。
また、死に至る過程で周囲が一番つらいだろうと思うのが4-2.の認知症を伴った老衰に近い死に方で、これは実際に知人家庭が崩壊一歩手前まで追い込まれた例がある。
周囲がとことん優しくないと数年～十数年に渡る認知症介護は不可能だ。
表題の『癌で死ぬのはそんなに悪い事じゃない』と思うのは、上記3-2-2.のパターン。

ワタシの両親は二人とも癌で亡くなった。
また、親戚・友人・知人・かつての同僚・客先の親しかった人など、身近に癌治療から死に至るまでの経過を詳しく知っている例が十数件ある。
両親が亡くなったのは二人とも70台後半だったのだけど、今思い起こせばそんなに悪い死に方ではなかったんじゃないかと思う。

現在日本人の平均寿命が80歳くらいだったと思うけど、70歳以上で癌で死ぬのなら、それはもう理想に近い死に方ではなかろうか。
その理由とは、自分の死期が自分も周囲の人間も大体わかり、死ぬまでの期間が他の死因に比べると長い、という事で、これは精神的には辛い反面多大なメリットがあると思う。
いい死に方か否かという判断基準には、本人にとってどうかという点と家族にとってどうか、という二つの見方があるわけだけど、その双方にメリットがあると思うんだよね。
自分の死期がわかれば色々と重い腰を上げる事ができる。
普段は口にしないけど死ぬまでに言い残しておきたい事や、普段はやんないけど死ぬまでにしておきたい事など、死ぬ前提でないとできない事って結構あると思うのよ。
まあ、それらをするには本人にもある程度の達観が必要で、「なんとか癌を直したい」という意識に凝り固まったヒトには無理だけど、年齢も還暦を超え、家族や親類や友人知人たちが5人以上も癌で亡くなっているようなヒトであれば「癌治療なんて何しても無駄だ」という意識は少なからずあるのではないか。
ある種の癌にはある種の治療が劇的に効果がある、というのは事実だが、癌になったら大抵は何しても無駄だ。
人間の細胞数は約37兆個と言われている。
体重平均を60kgだとすると、1kgあたりの細胞数は6000億個、早期がんと診断される直径1cmほどのがん組織であっても少なく見積もっても5億個の癌細胞からなり、悪性度の高い癌であれば早期発見の段階であっても既にどこかに転移しているというのが実情だろう。
誤解を恐れずに言えば、今の癌治療は「できるだけの事は全てやったんだからもう仕方がない」というネガティブな達成感を本人やその家族が得るための手段でしかない。
楽に死ねるようにする終末期の緩和治療だけは意味があると思うのだけど、それ以外の「癌を治すための」努力は正直無駄だとしか思えない。

自分の死が不可避なものだと認識した上でないと治療以外の事にはなかなか気が向かないと思うけど、今の癌治療はほとんど無意味だと知っているヒトであれば諦念とか達観とかの意識が前面に出てきて建設的な事に時間を使えるはず。
70も過ぎて平均寿命まであと10年程度という段階で、辛い癌治療をしてQOLを著しく下げ、歩くのがやっとの体になりつつも数カ月寿命が延びた所で一体どんなメリットがあるというのだろう、とワタシは思う。

50過ぎてもタバコをバカスカ吸っているワタシは癌で死ぬ可能性大だろうけど、死因としてはそれで別にいいかなと思っとります。
癌宣告を受けたら、真っ先にHDDの整理をしなくちゃ(笑)



Wings to Fly / Susan Boyle