中華船外機を買っちまった(汗)

ROY

2016年06月24日 16:01

しかし、夜中のボーっとした時間帯にヤフオクやるもんじゃないっすね。
ついつい不要なモノに入札してしまって、翌朝「やっちまったぁぁぁ」とアタマを抱えることが過去数回(笑)
今回落札した船外機にしたって、よく考えれば不要だった。
似たような草狩機エンジンを使った船外機(ジェイモ SP-1)を持っているからね。

入札してから数日の間、

「高値更新されろされろ、たのむからされてくれぇぇ・・」

と願っていたのだけど、思いもむなしく高値更新はなく、そのまま落札してしまった(汗)
落札価格は1万円ちょい、送料5000円、合計2万弱の買い物。
仕方がないので『安物買いの・・・』になるかどうか、また、中華船外機に興味を持ってる皆様の人柱になれればそれも本望というコトで、これから長期レポをしたいと思います。


落札してしまってから数日後、結構デカい箱に入ってそれは家に届いた。





スペックは以下のとおり

形式 1E40F
4ストローク38cc
タンク容量 0.85L
最大出力 1.0KW/6500rpm (1.4PS)
重量 8kg


届いた箱をあけると付属工具らしきものが箱の中に散乱していた。
六角レンチやプラグレンチ等がバラバラに入っている。
工具が入っていたと思しきナイロン袋には不自然な穴が開いており、そこから出たもののようだ。
穴がいかにも不自然なので、これもしかして工場の箱詰めラインの誰かが何らかの工具を抜いているんじゃなかろうか(笑)

ペラペラの英語マニュアルが入っていたが、これがまた全く役に立たない代物で、トランサムへの取り付け方やトリム角調整などの一般的な船外機の使用方法の初歩の初歩だけが書かれており、この機種固有のメンテナンス項目が全くない。ホントにない。
この船外機にはありもしないインペラを一年に一回交換しろだの、これもついてない亜鉛のアノードを3か月に一回外して磨けだの、いい加減なことしか書いてない。
プラグの型番もわからなければエンジンオイルやギアオイルをどうやって交換するかの記述もない。
このマニュアル、おそらくどこか他メーカーの船外機のものを抜粋して丸写しにしているものと推測される。
それに、信じられないことだが、製造しているのがドコの何という会社なのかがマニュアルにも段ボールにも本体にもどこにも書いてなかった。
もちろん消耗品の入手先や質問を受け付ける連絡先の記述もなし。
こんだけ売り逃げの姿勢を明確にされると、逆に清々しくもある(笑)
リコイルスターターの部分に[DAIWA]と書かれているが、これはこの船外機を輸入販売している日本の販社の名前であってメーカー名ではない模様。
DAIWAという名前からして日本のイメージがホンワカと漂うが、中身はすべて純粋な中国製だ。
また、これと同じだと思われる船外機に 『SHOWA ポセイドンS4』 というのがあるのだけど、どう見ても今回買ったものと全く同一である。
外観は完全に一致、エンジンスペックも完全に一致、違いといえば、ポセイドンS4の方はリコイルスターターの上のシールがSHOWAと書いてあるだけだ。
DAIWAとSHOWA、なんとなーくだけど、同じ発想(日本製だと思わせること)としか思えんよね(笑)

さて、もう少し調べてみると、どうもこのエンジンはホンダの汎用エンジンの劣化コピー品じゃなかろうかと思い始めた。
ホンダの汎用エンジン本体の外観は確認できていないけど、排気量と出力が全く同じなのでかなり怪しい。
ホンダは中国に生産工場があってそれがつぶれたりしていたワケだけど、そういうつぶれた工場を買い取った誰かが勝手にホンダの生産ラインを動かして、もしくは設計をパクって汎用エンジンを作り続けて勝手に販売しているのではなかろうか?
どうもそんな気がする。


実物を確認して気になる点がいくつか見つかったので書き出してみる。

・公称重量の8kgというのはかなり疑わしい。
正確に計ったワケじゃないのでアレだけど、これたぶん8kgより重いと思う。
ジェイモのSP-1が5kgなので比較してみようと両手に持ち比べた結果、SP-1の3kg増しってコトは絶対にないと思った。
ジェイモの約二倍程度、10kg近くはあるんじゃなかろうか。

・キルスイッチが防水になってない
エンジンを停止するためのキルスイッチが・・・・なんというコトでしょう! 普通の電灯のスイッチみたいなパチパチと切り替えるヤツで全く防水になってない。
スイッチには【I】と【O】の二つの模様が書いてあり、エンジンを動かしているときは【I】を、停止するときは【O】にする(これは実際に動かしてみてわかった)
普通のスイッチをそのまま使っているのであれば、導通状態が【I】で絶縁状態が【O】の筈だ。
というコトは、エンジンを始動するためには導通状態になってる必要があり、海水を被ってスイッチ内部の接点が錆びたらエンジンが起動できなくなるはず。
また、【I】と【O】が逆であれば今度は停止ができなくなる。
ヤバい、これは実にヤヴァい。
船外機の汎用補修パーツとして防水のキルスイッチが2~3000円ほどで売ってるので換装するといいかもしれないけど、普通のキルスイッチはショートさせるとエンジンが止まる構造になってるので、このエンジンについてるキルスイッチをテスターで調べてからでないとダメだろう。
このスイッチの【O】がショート状態であれば汎用品に換装できるんだけどなあ・・普通のスイッチのマークは【I】がショート状態だから無理確率80%ってとこか。
ま、一度テスターで調べてみて、換装できそうならしようと思う。

・アームが普通の船外機とは逆方向かつシャフト軸のほぼ中心から伸びている。
国産の普通の船外機はエンジンの右側に座って左手で操作するように作られているが、この中華船外機は左側に座って右手で操作する前提のセッティングになっている。
アクセルを開く方向も逆だし、アームが船外機の中央付近右側からまっすぐに伸びているので操船するときにかなりジャマになると思う。
アクセル部分は安物MTBについてるグリップシフターそのもので、回すとカチカチと10段階くらいにアクセル開度を調整する構造。

・チルト固定の機構がおかしい
チルトダウンして前進方向に船外機を回すとガキッとパーツが噛み合ってチルトアップできなくなるのだけど、これちょっと危ない構造かもしれない。
そもそも走ってる時にはチルトアップの方向とは逆向きの力が発生しているのでこんな固定機構は全く不要のはずだ。てかこれボート保護の観点から考えるとチトおかしいのでは?
ボートを走らせていて流木や隠れ根がギアケースをヒットした場合、まともな船外機なら跳ね上がって衝撃を逃がすのだけど、この構造では跳ね上がらずにトランサムに直接衝撃が加わってしまう。
下手すればトランサムを破壊してしまうかもしれない。
何故こんなバカな構造になっているのか理解に苦しむ。
余力があれば、この固定される部分を削り取りたい。

・排気口が上向き
エンジンを止めてる状態で雨が降り続いたり波を被ったりすると、シリンダーの中に水が浸入して始動できなくなる可能性あり。

・トランサムに固定するクランプを目一杯に絞め込んでも35mmほどの隙間ができる。
従って、これより薄いトランサムには固定できない。
無理矢理つけるなら何か板を噛ませて固定するしかない。
こんなチンケな馬力の船外機をそんな分厚いトランサムを持ったでっかいボートにつけるわけなかろうに・・・一体何考えてるんだか。

・トランサムに装着した状態でそのままチルトアップするとオイルがシリンダーに回って始動困難になる可能性がある。
このエンジン、運転状態ではピストンが船首方向にあり、クランクケースやオイルパンは反対側の船尾方向にある。
従って、そのまま何も考えずにチルトアップするとクランクケースが上でピストンが下となり、オイルがダバダバとヘッド方向に流れて始動困難になるものと思われる。
チルトアップする際は、進行方向から180度回転させてクランクケース側(燃料タンクのある側)を必ず下にするようにする必要がある。
横向きに地面に寝かせる際も同様。燃料タンクは常に下側になるよう意識しなければならない。
 


という感じで不安一杯ですが、これから数回にわたってレポートしたいと思います。


【追記 某月某日】

・上のほうでこの船外機はホンダの汎用エンジンの劣化コピーでは?と書きましたが、元ネタを見つけました。
ホンダ GX35という汎用エンジンにクリソツ、てか全く同じ外観です。
http://www.honda.co.jp/engines/small/gx35/
でもホンダの汎用エンジンがこんな値段で売ってるわけないんで、これはやはり劣化コピー品なんでしょうなぁ。


・ついでにGX35の取扱説明書もありました。
http://www.honda.co.jp/power-manual/pdf/gx35/pdf/gx35_all-pages.pdf
構造自体は同じっぽいので参考になるかも。


・ホンダGX35と外観は全く同じですが、排気量はビミョーに違うみたいっすね。
これを知る前は 『もしかするとホンダの工場から横流しされた本物のホンダ製かも』 という淡い期待を持っていたのだけど、これでこのエンジンはホンダの劣化コピー品であることが確定。
基本設計自体はホンダでも、パーツの材質や精度、組み付けのバランス等は紛れもない中華クオリティなので、耐久性に関しては全く信用できない。
まぁ、そんなに世の中甘くないよね(笑)
本物のホンダGX35は排気量35.8ccだけどこの船外機のエンジンは37.68ccだそうで、この僅かな差は一体何だろう?
GX35は圧縮比8.0みたいなんでもう少しは圧縮比を上げられるだろうから、本家ホンダよりもちょい大きめのクランクを入れてるのかもしれないっすね。
いや、クランクシャフトを変えるのはリスクもコストも大きすぎるからなぁ、ボアを大きくしてると見るのが妥当なセンか。
シリンダーのスリーブを入れずにオーバーサイズピストンに置き換えてる?
いやいや、なにせ中国製だからなぁ・・・、とりあえず動けば文句ないだろってスタンスで作ってそうな気がする。
となると、スリーブを入れずピストンもそのままで、単に大きいピストンリングをつけてるだけだったりして・・
うん、これが一番確率高そうに思えるな。
そして、もしそうだとしたら、耐久性は最悪だ(笑)


・色々と海外サイトを調べてたらこんなの見つけましたー
http://www.motors-biz.com/item/1037902/Gasoline-Air-Cooled-Outboard-Motors-.html
最小購入単位が100台ですが、単価がなんと50US$らしいっす!
今の為替レートでいくと一台5500円以下ですね(笑)
ヤフオクの出品者は送料を一律5000円取って落札価格が大体1万ちょい位なんで、実際の送料3000円くらいと原価5500円というのを考えると、この船外機一台当たり7000円くらいの利益が出てそうです。
ワタシも100台仕入れて売りさばこうかなぁ
あ、いや、ワタシはヒトに恨まれたくないのでしませんけどね(笑)


・この船外機以外にも中国製の劣化コピーエンジンは巷に溢れているらしく、検索するとワラワラとヒットしました。
そして、どれもこれも総じて粗悪品みたいですね。
ホンダもこの問題は認識しているようで、ホンダのサイトにはこんな文章が。

   アジアのお客様にとっては多くの場合、Honda製品は高額商品。その経済事情もまた、環境とビジネスに影響を及ぼす。
「中国の汎用販売店の店頭は、赤いHondaカラーのエンジンで埋めつくされています。そのほとんどがコピー商品。新製品を出すと知らぬ間にコピーが出回る」と藤井さんは対応の苦労を語る。一方「コピーが汎用エンジンの便利さを広く知らしめた」のも事実だという。
「利便性を手にするとさらにいいものが欲しくなる。やがて本物が認められ、Hondaの市場は広がる。その先に大きな責任が待ち構えています」 と藤井さんは先駆者としての自覚を語る。エンジン使用製品がアジアの発展とともに爆発的に広まった場合のCO2の増加への懸念があるからだ。
 二輪事業本部の山口さんは、急成長する中国を始め、市場の拡大が環境影響の増大に繋がるような事態を防ぐには、製品技術とインフラが鍵と語る。「我々製品の送り手が、数の増大が問題とならないほど、単体での環境負荷を下げること。国家は交通網やエネルギー供給等で、先進国にただ追従するのではなく、自国の特性を生かしたインフラの導入を研究する。その二つを連携して進めることが大切です」


てか、日本の法律ではデッドコピー品の販売は刑事罰だったはず。
このオークションの出品者、そのうち捕まったりして(笑)



youtubeに同じの買ったヒトの走行動画がアップされてました。
とりあえず快調そうに動いてます。
勝手に貼ったら怒られるかな?(汗)
https://www.youtube.com/watch?v=FWXp0GA3vB0


この船外機を作っている大元の会社っぽいのを見つけましたー
http://hjiaecl8378.motors-biz.com/
ネットで検索するとこのエンジン自体は船外機のみならずいろんなモノ(草刈機や動力一輪車など)に転用されているみたいだけど、この会社のホムペには船外機しか商品がないので、コピーエンジンを作っている会社ではなく、船外機にアセンブルしてるだけの会社だと思います。
検索して辿っていける一番最後がこの会社でした。

エンジン自体を作っている会社はドコなんだろ?
まぁコピーだし、表には出てこれないか(笑)


【追記 某月某日】

一度の使用で壊れました(笑)

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