ダブルバスレフ方式スピーカー制作(3)

ROY

2013年07月10日 20:08

届いてからほったらかしだったダブルバスレフスピーカーキット'(WP-7108DB-F2PS)を、ここ数日じわじわと組み立てとります。
今現在は塗装前の仮組みで鳴らしている段階ですが、これまでの経過をざっと書いてみようと思います。


梱包を開けた時の各パーツの印象

スピーカーユニット(Fostex FE83En)

このFEシリーズのユニットは歴史があり、ずっと昔から売れ続けている自作スピーカーのリファレンス的シリーズとのことでどんなユニットなのかが興味があったのだけど、箱を開けてみると日本製とは思えない造りの荒さでちょっとビックリ。
布エッジには妙なシワが不均等に入っているし、コーン紙が斜めから見ると激しく傾いている。
エッジ周辺のコーン紙の位置が、1個は1.5mmほど、もう1個は0.5mmほど両端で差があった。
今までに買ったユニット、P800KとFF85WKにはこんなズレはなく、いかにも緻密な日本製品というイメージだったのだけど、今回のFE83Enは雑そのもの。
ゴムエッジと布エッジの違いなのだろうか?
いやいや、それにしてもこれはヒドイ。
こんなのが出荷前チェックに引っかからないワケがない。
単品で買ったP800KとFF85WKはかなり精密な外観だっただけに、同じ会社の製品とも思えない。
もしかするとこのキット、フォステクスの失敗ロットを共立電子が安く仕入れてセット販売しているのか?と思ったりもした。
今回ワタシはユニット付のキットを購入したのだけど、この記事を見たヒトが購入を検討しているのなら箱だけのキットにしてユニットは単品を購入した方がいいかもしれない。
失敗ロット云々の疑いはまぁおいといて、ユニットがおかしかった場合の返品もしやすいしね。
それに、別々で買っても合計金額はそんなに変わらないし。
とにかくFE83Enの作りのいい加減さにはビックリした。


板材(MDF)

15mm厚の板なので、なかなかしっかりした印象。
精度もかなりよさそう。
ただ、側板の一枚が僅かに反っていたのが残念。


ターミナル

これはちゃんとしたのがついていた。


スピーカーケーブル

少し短く、後でハンダ付けをするのに苦労しそう。
これはちゃんとしたケーブルを自分で用意した方がいいと思う。
付属のケーブルは芯材も鉄で、銅ですらない。(短いケーブルなんだからケチるなよ・・)


木工ボンド

一番小さいサイズの木工ボンドが二個付属しているけど、これでは絶対足りない。
(このキット内容を決めたヒトは、これ実際に作ったことあるんだろうか?)


別途購入したもの

ベルトクランプ2個
ハタガネ2本(前回購入した4本もあるので合計6本)
マスキングテープ
速乾木工ボンド(500ml)1本
ジェルカラーニス(チーク)1本
スプレー塗料(水性・チョコレート)2本
戸当りテープ(FE83Enのパッキンが役に立たないので、これをパッキンに使用)
サンドペーパー80~1000番数枚


準備したもの

洗車用タオル
ハンダゴテ、ハンダ
電動ドライバー
ドリルビット(2mm穴あけ用,5mm皿モミ用)
ラジオペンチ
+ドライバー#2


組み立て

まず最初にダクトを接着する。
PDFの説明書には「実用強度に達するまで◯◯時間」とか書いてるけど、速乾ボンドを塗って差し込んで10分も経ったら次の作業に取り掛かれるほどくっついていたので、とっとと次へ。
説明書にはここで仮組みをして段差の少ない板の組み合わせを見つける、と書かれていたけど、ダボ穴も結構正確で、どの組み合わせもほとんど同じだった。
なんだ結構精度いいじゃん、こりゃ説明書通りに作ったら間違いないだろう・・と思ってしまったのが後の失敗につながるとは、この時点ではまだ気づいていない(笑)
ダボ穴にダボを差し込み、ボンドを塗って側板以外のパーツを接着していく。
この過程は、説明書にはゴムハンマーで叩いて板を密着させ、重しを載せてボンドが硬化するのを待つ、と書いてあったのでその通りにやってみた。
といっても、ゴムハンマーなんぞ一般家庭にあるワケもなく、拳を握ってガンガンと叩き、側板を当てて直角を出した後に10キロ程度の重しを上に乗せた。
その後、もう一個も同じように作る。
この状態で一晩放置。

翌日は側板を接着。
まずターミナルにケーブルをハンダ付けし、裏板に固定する。




組み上げた後にターミナルのナットが緩むともうお手上げなので、ここは念入りに締めた。
次はいよいよ側板の圧着。
ダボ穴にダボを入れ、空気漏れがないようにボンドをてんこ盛りにして側板を合わせてみたら、なんか側板が小さいような・・・
いや、側板が小さいと言うよりも、側板以外のパーツが完全に密着しておらず、微妙な隙間があるために膨らんでいる模様。
だから側板が相対的に小さく思えるのだろう。
エンクロージャの前後に段差が0.5mmほどずつあった。
空気漏れはなさそうだけど、これはサンディングが苦労しそうだ。
当然のことながらボンドは固まってしまっているし、もう後戻りはできない。
仕方がないのでそのまま側板を押し付け、ベルトクランプ2個でガッチリ固定し、力がかかっていない部分はハタガネで締めた。



なまじ板の精度がよかっただけに説明書を信頼してしまい、側板以外のパーツを接着する際に説明書のとおりに重しだけで圧着したのだけど、この部分だけは説明書を信用しないでベルトクランプでギリギリ締め上げるべきだった。
この状態で一晩放置。

翌日、もう一個のスピーカーの側板を同じ方法で圧着。
ここまできて気付いたのだけど、今回は半透明のニスで仕上げようと思っていた。
MDFにボンドの染みだした跡を付けないためにマスキングテープを買ってきていたのだけど、それを貼るのを忘れていた(笑)
はみ出したボンドは濡れたタオルで拭き取ってはいるものの、やっぱり跡がついてしまっていて、これではニスは使えない。
ま、忘れていたものは仕方がない。
また不透明塗料のスプレーで塗装をすればいいんだしー(だんだんいい加減になってきた(笑))

数日後、サンディング。
スピーカー前面と上部だけは板の段差を無くしたい。裏面と下部の見えない所はどうでもいいけどね。
接着したスピーカーを屋外に持ち出し、コルクの立方体にサンドペーパーを巻き、汗だくになりながらサンディング。
近所のヒトの不審な視線を時折感じたりするが、気にしない。
暑くてたまらず、途中でビールを持ってきてグビグビやりながら一心不乱にサンドペーパーをかけた。
ユニット取り付け穴とダクトの穴に、MDFを削った粉が盛大に入っていくのがなんともヤな感じ。
削った粉がエンクロージャー内部に入らないように、前面から取れるような簡単なマスキングをしておけば良かったかもしれない。
(ま、後で掃除機で吸い取ればいいんだけどね)
結局、前面にある段差0.5mmほどと上面にある段差0.2mmほどを無くすのに要した時間は約2時間。
炎天下の屋外で、ビールを飲みながらひたすらサンドペーパーを掛けていた。
段差がなくなった所で、箱のカドを丸め、次は600番のサンドペーパーを手だけで持って磨き、板のザラザラをなくしていく。
手で触って表面がスムースになるまでに約30分を要し、サンディングがやっと終わった。
心底疲れたのでこの日はシャワー浴びてビールを飲んで終了。


数日後、塗装をしようかな~、それともこのまま仮組みでちょっと聴いてみようかな~と迷った挙句、どんな音がするのか興味を抑えられず(笑)仮組みして聴いてみることにした。
まずユニット取り付け穴の周囲を軽くサンディングしてやってカドを取り、ユニットを合わせ、ネジ位置を鉛筆でマーキングした後に2mmのドリルで穴を開けていく。
その後、開けた穴の周囲を5mmのドリルビットで皿モミ。
次にパッキンを付けるのだけど、FE83Enに付属のパッキンは薄くてやたらと細い。
ほんの少しズレると気密性が保たれなくなるのは明白なので、戸あたりテープを縦半分に切ったものをエンクロージャーのユニット取り付け穴の周囲に丸く貼った。



ここの気密性が悪ければ全てが台無しなので念入りに貼っていく。
その後、付属の吸音材を入れ、



吸音材を入れユニット取り付け穴からケーブルを引っ張り出し、軽くハンダをつけてユニットと接続し、エンクロージャにネジ止めして仮組み終了。

作ってみてから改めて思ったのだけど、少し前に作ったバックロードホーン(BW-800)よりもかなりデカい。




これじゃ机の上に置いたら邪魔になって仕方がないだろうな~


音出し

望遠鏡の建設後、最初の観望で見える光は「ファーストライト」と言うのだけど、スピーカーの場合はなんて言うんだろ?
ファーストサウンド?
いやいや、それじゃベタすぎるだろ、なんて一人で苦笑いしながらアンプに繋いだ。
このユニット(FE83En)はWEB上の評価によると、高音部がキレイで音源の分解能が良くボーカルがリアルに聴こえるらしい。
それらと同時にダブルバスレフの低音も確認してみたいってコトで、ボーカルがあって録音状態もよく音域も広いソースとしてダイアナ・クラールの『Live in Paris』をかけてみた。
このCDは耳にタコが出来るほどいろんなスピーカーで聴いているので、今回作ったスピーカーの特徴を判断するにもうってつけだと思われる。


で、聴いてみた感想だけど・・・

なんか重低音部がボコボコ言ってて、音楽の一部の音ではないように思える。
周波数特性はまだ調べてないのでハッキリとはわからないけど、耳で聴いた感じでは100Hz以下の重低音部に不自然なピークがポコッとあり、100~500Hzがややスカスカの感じ。
一方、1KHz以上の中高域は流石に緻密な音を出している。
ドラムのブラシの一本一本がスネアを叩いているのが見えるようだ。

しかしこの中低音部の不自然さはちょっと許容範囲外だった。
重低音に相当する100Hz以下の領域は結構出ているのだけど、とにかく不自然な重低音だ(笑)
中低域からのつながりも悪い。
このままエージングしていって音が変わるのだろうか?(汗)


【追記】

その後、スピーカーユニットをFF85WKに換えてみました。
交換後は若干の改善が見られたものの、やはりどうにも低域のクオリティはワタシの許容範囲外で、この箱は塗装することなくオクラ入りが決定しました(笑)
このダブルバスレフ箱はFOSTEX FE83Enに付属の説明書にある応用例のダブルバスレフ箱
そのものなんですが(ポートが四角と丸の違いはあるけど)ぶっちゃけガッカリでしたね。
スピーカーメーカー設計の箱というのに幻想を持ちすぎていたのかもしれません・・・

このスピーカーに納得したら、次はフォステクスがFE103Enの応用例として設計した図面を具体化したキット(共立電子 WP-7510BH)でも買おうかと思っていたのですが、気勢を削がれた感じです(笑)
メーカー設計の箱って言ってもこのレベルなんだ・・・というのがよくわかりました。
これなら1万円でペアで売ってるブックシェルフ完成品の方がいい音でした。
このデカさでこの音はないわー、というのが率直な感想です。


前記事>ダブルバスレフ方式スピーカー制作(2)


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